取引所での約定値段の決定という計算問題をする前に事前知識的なものを少し整理してみたいと思います。
【目次】
呼値の単位
呼値(よびね)・・・単純に覚えてください。取引所での売り買いの注文の値段のことです。ただし、呼値の単位は(必ずしも)1円単位だけではありません。有価証券の種類や金額などによって単位が違います。
5円単位、10円単位・・・10万円単位、もちろん国債などでは額面100円につき1銭というのもあります。
売買取引の単位
内国株券
1.たとえば、1単元が100株(単位)とか、1,000株(単位)という場合は、その単位になります。
2.1単元の株式の数を定めていない会社の場合は、1株です。
国債証券
額面5万円です。
国債証券は5万円、これを合言葉で・・・
合言葉は、国5輪(東京五輪)、国五輪ではなくて国5万、と意識づけしておきましょう。
転換社債型新株引受権付社債券
額面500万円、400万円、300万円、200万円、100万円、50万円、10万円です。
5(ゴー)、4(ヨン)、3(サン)、2(ニー)、1(イチ)、0.5(ゼロ)、10(ジュー)! 7色仮面で変身(転換)!
値幅制限とは
価格の急騰、急落の(投資者への)影響を考えて、前日の終値から一定の範囲に制限している決まりがあります。・・・呼値の値幅制限
どこが?(してるの?) ・・・取引所が、です。
※国債、外国債、社債等の制限値幅は、1円です。
※転換社債型新株予約権付社債券は、別計算です。転換比率を掛けて算出します。
行使対象上場株券の値幅制限×転換比率(額面100円当たりの発行価額÷新株予約権の行使により発行する株式の発行価額)
有価証券の売買等の取消ができるか?
原則はできません。ただし・・・
取引所は、過誤のある注文により売買等が成立した場合に、その決済が困難であり、取引所が混乱するおそれがあると認める時などは、(取引所の定めるところにより、取引所が定める売買等を)、取り消すことができる、となっています。
立会取引の前に市場(マーケット)が開いている時間帯
よくニュースなどで、「午前の終値は・・・」というフレーズを聞いたします。
取引所が開いているのは、1日2回、午前と午後です。それぞれ2時間30分ずつです。
午前(前場) | 午後(後場) |
---|---|
9:00~11:30 | 12:30~15:00 |
始値 ⇔ ザラ場 ⇔ 終値 | 始値 ⇔ ザラ場 ⇔ 終値 |
※約定値段の決め方は、2種類あります。
①板寄せ方式・・・始値と終値の決定の時に利用される方法
②ザラ場方式・・・始値~終値の間の継続的な時間帯にて使われる方法・・・このザラ場での約定値段の決定を計算問題として次回にやりたいと思います。
立会取引
立会取引とは、取引所内で時間内に行われる売買のことです。価格優先、時間優先の原則での競争売買です。
価格優先の原則・・・これ大丈夫ですね。理解できますよね。
売りたい人・・・高く売りたい(人間の心理です)
買いたい人・・・できるだけ安く買いたい(同じく人間の心理です)
取引の時は、逆に優先になると、理解してください。下の表で見てみましょう。
売りたい | 買いたい | |
---|---|---|
売呼値 | 値段 | 買呼値 |
1,000株 | 500 | |
500株 | 499 | |
100株 (低い方が優先) |
498 | |
497 | 200株 (高い方が優先) |
|
496 | 300株 | |
495 | 500株 |
買いたい人が何人いるか分かりませんが、買いたい人たちの株数の合計は、200+300+500=1,000株です。
逆に、売りたい人側の合計は、1,600株です。
ということは、値段さえ合えば、買いたい人の1,000株分は(商品として)ある、ということです。
これを、希望する価格帯同士でマッチングさせていくわけですね。
仮に、売りたい方が成行(次章で説明)でいいよ、また買いたい方も(本当の希望は497円だけと、成行でいいよ、となれば、左の低い方と右の高い方を優先的に「ぶつける=出会いを成功させる」ということにするわけです。
※時間優先の原則は、単純に理解できますね。先に行われた呼値が優先です。(当たり前ですね)
成行と指値
成行(なりゆき)・・・「いくらでもいいから(売りたい・買いたい)」・・・値段を指定しない形での注文
指値(さしね)・・・「○○円で(売りたい・買いたい)又は、○○円以上で(以下で)売りたい(買いたい)」・・・値段を指定する形での注文
では、成行と指値、どっちが優先だと思いますか?
簡単ですね。わがままを言わない成行、ですね。
ここまで理解・整理ができましたか?
次回は、この表を使って約定の値段を決定する練習をしましょう。
まとめ
一つだけ、合言葉で記憶しておいてください。前述の表で、左が売呼値、右が買呼値、でした。左右の覚え方です。
(どっちが左で、どっちが右か、というヤツです)
合言葉 左(ひだり)売り、と、右(みぎ)買い
最後にまとめとして練習問題にチャレンジです。
⇒ 練習問題