計算問題はパターン化していますから、理屈抜きに覚えてください。いわゆる「公式」というレベルです。
【目次】
(左に)Pがつく公式・・・P=Price
PER、PCFR、PBRの3つです。
常に、1株当たり〇〇という数値を求めてください。それが、分母になります。
そして、パー(PER=株価収益率の計算式)が基本だと認識してください。
合言葉 株価のパーは、プライスのパー(プライス=価格=株価が、左(分子)で割り算)
PER(株価収益率)
会社の収益力をみる指標です。
PER・・・株価収益率・・・株価÷1株当たり当期純利益
2段階で計算します。
資本金 | 150億円 | |
---|---|---|
発行済株式総数 | 5億株 | ・・・これで割ります・・・120億円÷5億株=24円・・・① |
税引後当期純利益 | 120億円 | ・・・まずは、これを |
減価償却費 | 80億円 | |
株価 | 800円 | ・・・最後は、これを①で割ります |
1株当たり当期純利益=120億円÷5億株=24円
株価収益率=800円÷24円=33.3倍
理解できましたね。Pは、株価が分子で、それを割る、です。
PCFR(株価キャッシュフロー倍率)
株価キャッシュフロー倍率(PCFR)・・・CF=キャッシュフローです。
・・・問題には表示されると思います。「PCFRを求めなさい」という感じです。
問題(前提条件)はPERの時と一緒です。
資本金 | 150億円 | |
---|---|---|
発行済株式総数 | 5億株 | ・・・次は、②をこれで割ります・・・200億円÷5億株=40円・・・③ |
税引後当期純利益 | 120億円 | ・・・まずは、これと |
減価償却費 | 80億円 | ・・・これを足します。120億円+80億円=200億円・・・② |
株価 | 800円 | ・・・最後は、これを③で割ります |
まずは、1株当たりのCF(キャッシュフロー)を求めます。
その前に、CFとは(簡単にいうと)儲けと金庫の中に貯めておいたお金=減価償却費の合計です。
=税引後当期利益120億円+減価償却費80億円=200億円
1株当たり・・・200億円÷5億=40円
PCFR=800円÷40円=20倍
PBR(株価純資産倍率)
次は、PBRというものです。株価純資産倍率です。・・・同じく1株当たりの純資産額をみる指標です。
株価純資産倍率=株価÷1株当たり純資産
純資産とは、負債・借金などを除いた純粋な資産です。
決算書を読める人なら大丈夫だと思いますが、一般の方だとピンとこないと思います。貸借対照表をイメージしていただきたいのですが・・・
資産=自分のお金(自己資金・資本)+他人のお金(借金・負債)だと理解してください。
ですから、純資産=自分のお金=資産-他人のお金(借金・負債)で算出する、ということだけは覚えておいてください。
では、前提条件です。
総資産 | 500億円 | これから |
---|---|---|
総負債 | 120億円 | これを引いて、純資産を出します。500-120=380億円・・・④ |
発行済株式総数 | 5億株 | ④をこれで割ります。380億円÷5億株=76円・・・⑤ |
株価 | 800円 | 最後、これを⑤で割ります。800円÷76円=10.5倍 |
純資産=500億円-120億円=380億円
一株当たり純資産=380億円÷5億株=76円
株価純資産倍率=800円÷76円=10.5倍
※PER、PCFR、PBRというようにPという文字があったら・・・株価を割る、ということを覚えておいてください。
左にRという文字がつく計算式(R=Return)
次は、Rという文字が入った時の計算問題です。
2つを整理して覚えておいてください。
自己資本利益率・・・ROEと
総資産利益率・・・ROAです。
ともに左側にRがきます。R=Return のRです。
今までは、全部、(単語に左側に書かれていた)株価を、右側の単語で割っていました。
株価収益率(PER)・・・株価を、1株当たり当期純利益で割る
株価キャッシュフロー倍率(PCFR)・・・株価を、1株当たりキャッシュフローで割る
株価純資産倍率(PBR)・・・株価を、1株当たり純資産で割る
今度は、左で割ります。そして、100%がくっついてきます。×100です。
自己資本利益率(ROE)・・・利益÷自己資本×100%
総資産利益率(ROA)・・・・利益÷総資産×100%
実際の計算式は、(算出のために)もう少し式変形しますけど、イメージとしては、次のようになります。
(※総資本利益率とも言われます。示される問題で、総資本という形で表現されても慌てないでください)
ROE(自己資本利益率)
まずは、自己資本利益率(ROE)というものです。
(※非支配株主持分は、連結財務諸表のみ。
昔は、計算式の「非支配株主持分」は「少数株主持分」となっていました。昔の計算式で覚えている方はご注意ください)
ROE=当期純利益÷自己資本(期首と期末の平均)×100%
総資産 | 自己資本 | 売上高 | 当期純利益 | |
---|---|---|---|---|
29年3月 | 1,580 | 880・・・これが29年3月の期末です | 1,620 | 180・・・この利益を割ります |
28年3月 | 1,560 | 860・・・ここが29年3月の期首になります | 1,460 | 160 |
28年3月の期末=29年3月の期首になりますから・・・
(期首+期末)÷2=平均=(860+880)÷2=870
29年3月の当期純利益180÷870×100=20.6%(小数第2以下切り捨て)
ROEは、投下した資金がどのくらいの収益を上げているかをみるものです。次のROAと同じように収益力をみる指標になります。
ROA(総資産利益率・総資本利益率)
次は、ROAです。総資産利益率です。(繰り返します。総資本利益率という形で、総資本という表現でも慌てないでください)
ROA(総資産利益率)=当期純利益÷総資本×100%
前提条件
総資本 | 580億円 |
---|---|
売上高 | 300億円 |
当期純利益 | 45億円 |
ROA=45億円÷580億円×100=7.7%(小数第2位以下切り捨て)
式を変形させるやり方もあります。(上の図の上段)
総資産利益率=当期純利益÷売上高×売上高÷総資本(回転率)
その他の計算式1・・・VWAP
VWAP、加重平均という計算問題もあります。(ブイワップといいます。SMAPではありません)
400円で | 2,000株 |
---|---|
410円で | 4,000株 |
420円で | 5,000株 |
430円で | 8,000株 |
という約定があった日の平均値を出すものです。
何となくイメージできますね。
全部を掛けて、総合計の金額を計算して、それを数で平均値を出す、というものです。
400円×2,000株+410円×4,000株+420円×5,000株+430円×8,000株=7,980,000円
7,980,000円÷19,000株=420円・・・平均値です。
その他の計算式2・・・EV/EBITDA
金融機関にお勤めで、融資業務や審査業務をされた経験のある方なら、企業分析・財務分析の世界で、償却前利益、という概念を勉強したことがあるかと思います。
(返済原資に充当できるキャッシュフローの計算の時によく使います)
EBITDA・・・(イービットディーエー、又はイービットダーといいます)いーびっと、ダァー?
元気があれば、何でもできる!
1、2、3、ダァー! というのもありましたけど・・・古いオヤジギャグですいません。
EVは、Enterprise Value ・・・企業価値、というものです。
上で説明した、償却前利益をさらに発展・加工させます。1、2、3、と3つ加算するのです。
1、2、3だぁ(123だぞ)という感じで覚えてください。
1 | 2 | 3 |
---|---|---|
利払い前の利益 | 税引き前の利益 | 償却前の利益 |
ここの②利払いを戻して | ①ここの税引前利益に | ③償却費を戻す つまり・・・ |
+支払利息 | +税引前利益 | +減価償却費 |
上の表のいちばん下、3つを全部加算したものが、EBITDA(イービットダー)です。
EBITDA=税引前利益+支払利息+減価償却費 という計算式です。もう、記憶できましたね。
今度は、EVです。
EV=企業価値は=時価総額+有利子負債(借りることのできた借金・負債)-現預金(現金預金)-短期有価証券(短期で運用している資産)
EV=時価総額+有利子負債-現金預金-短期有価証券
企業価値、というと(返済する必要のある)借金を差し引いて、というイメージがありますが、逆になりますから注意!です。
何となく逆、ということです。
合言葉 元気があれば、何でもできる! 1、2、3、ダァー! ならぬ
合言葉 自由(時有)があれば、お金がなくなる(すぐに、短期に)、1、2、3、ダァー!
では、EV÷EBITDAは何を求める公式かというと、株価が割高か、割安か、というのを(同業他社と比較して)比べるための指数です。倍率、と呼んでいます。
実際に数字を使って、練習してみましょう。
資本金 500億円
時価総額 7,000億円
利益剰余金 300億円
保有現預金 400億円
短期有価証券 200億円
有利子負債 3,000億円
償却前利益 600億円
支払利息100億円
減価償却費 1,500億円
この時のEV/EBITDA倍率は?
単純に式を思い出して、数値を機械的に当てはめていくだけです。
分子=時価総額7,000億円+有利子負債3,000億円-現金預金400億円-短期有価証200億円=9,400億円
分母=償却前利益600億円+支払利息100億円+減価償却費1,500億円=2,200億円
9,400億円÷2,200億円=4.272727・・・(小数第2位以下切り捨て、と問題文に指示されたら)4.2倍・・・(答)となります。
問題ないですね。慌てないで計算するだけです。
まとめ
⇒ 練習問題