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債券については2つの市場に区分することができます。発行市場と流通市場です。意味は、理解できますね。債券を発行する時点での話と、発行された債券が市場において売買される時の話です。

発行市場 流通市場
登場人物・担い手
引受会社、社債管理者
登場人物・担い手
債券ディーラー、債券ブローカー

発行市場

引受会社

発行会社・・・引受会社(①買取引受け、②残額引受け)・・・不特定多数の投資者

間に引受会社が入ることによって、発行側(資金調達する側)は一度にたくさんの資金を調達することが可能となる。

①買取引受け・・・発行会社から全部又は一部を引き受ける
②残額引受け・・・残ったら引受ける

※引受においては、引受シンジケート団という言葉を覚えておいてください。責任分散が狙いです。(シンジケート・・・企業連合、銀行団といったような感じです)

地方債、政府保証債の引受けシンジケート団 事業債等の引受けシンジケート団
銀行等の金融機関と証券会社(金融商品取引業者) 証券会社(金融商品取引業者)のみ

社債管理者

社債発行会社・・・義務付け(会社法で)・・・社債管理者を設置する必要あり・・・社債管理者は、投資者(社債を保有する人)の利益を保護する

要件あり・・・①銀行、信託銀行、担保付き社債信託法による免許を受けた会社、会社法施行規則で定められている者だけ
②(例外あり)各社債の金額が1億円以上である時は、社債管理者の設置義務なし(設置不要)

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社債の発行形態に、3つの種類・・・委託募集・引受募集・総額引受けがありますが、ふーん、そうなんだ程度でいいかと思います。

あと、引受方式と入札方式がありますが、最近では入札方式が主流です。

国債の発行市場と社債の発行市場

国債の発行市場

3つですが、ふーん、程度でいいかと思います。

市中発行方式 個人向け販売方式 公的部門発行
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プライマリーディーラー制度という単語を認識しておいてください。

国債市場特別参加者制度というもので、財務大臣が指定した者だけですが、国債市場において特別な役割が与えられている、と考えておいてください。

社債の発行市場

社債は、規制緩和の流れにおいて、スプレッド・プライシング方式というやり方で発行条件が決められるようになりました。

※スプレッドとは、上乗せ分、という意味です。
たとえば、自分たちで基準となる金利を1.5%だと決めているとします。(自社ルールです)
それに、0.3%分の金利を載せて、1.8%を提示したとします。

この場合のスプレッドが、0.3%となります。

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つまり、市場実勢や投資家の需要状況にもとづいて発行条件が決定される、という方式・やり方です。

格付について

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スーパーや焼肉屋さんなどで、国産和牛最高A5ランク、といったようなコピー・フレーズを目にすることがあるかと思います。
それと同じように、債券を発行する会社の安全度をランク付けしたものが、格付(かくづけ)です。

トリプルAとか、シングルAマイナス、といったような単語を聞いたことはありませんか。
AAAとか、Aとか、A-とか、BBBといったような記号です。

この格付を決める(神のような)機関に、日本格付研究所、ムーディーズジャパン、スタンダード&プアーズ(S&P)、格付投資情報センター(R&I)などがあります。

格付を付けられる会社にとっては、ランクが上がった、下がったで一喜一憂ですね。

発行登録制度

社債発行の都度、毎回毎回、発行届出を行うのではなく、一定期間追加の書類だけで発行が可能となるようにしたものが、発行登録制度というものです。発行手続きの簡素化目的です。

流通市場

第一の投資者から、第二、第三の投資者へと売買されながら保有が移っていく市場のことです。保有者が転々と変わっていきます。
当然、売買される時の価額は、時価、です。

債券ディーラーと債券ブローカー

ブローカーというと(テレビドラマやニュースなどで耳にするイメージだと)何かしら悪そうなイメージですが・・・まったく違いますので。

自動車のメーカーと、自動車を購入したい一般のお客さまとの間に存在するのが、カーディーラーという販社です。名古屋レクサス・・・とか、福岡日産・・・、○○スバル・・・といったような会社がありますね。

同じようにマーケット(市場)において、仲介的な役割を果たすのが、債券ディーラーです。証券会社(金融商品取引業者)やディーリング業務を行う登録金融機関が該当します。

市場と店頭・・・取引所市場と店頭市場

要は、私たちが債券をどこで購入するか、ということです。

まず、市場というのは、株式の購入を考えてみてください。
株式購入においては、実際には証券会社の窓口(店頭)で購入しますが、店頭での取引とはいいません。東京証券取引所・上場一部銘柄の○○株式会社の株を5,000株購入という時には、市場から購入していることになります。証券会社の窓口を通して、取引所で売買が行われているわけです。

・・・取引所市場、での売買ということです。

一方、店頭取引とは、(取引所市場ではなくて)まさしく店頭で売買する、ということです。

取引所市場 店頭市場
株式はこちら中心 債券は99%がこっち
(原則)4日目決済
国債は、3日目決済
当事者間の合意で原則自由
ただし、債券ディーラー間では4営業日目
国債は3営業日目
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ここで一つ疑問点が・・・

店頭だと相対取引なので、いくらで売買されているかというのは第三者には分かりません。最新の相場を知りたくても分かりませんね。

これを分かるようにしたものが、(公社債店頭)売買参考統計値発表制度です。
日本証券業協会が、毎営業日、売買参考統計値を発表しているものです。
日本証券業協会が指定する協会員からの報告に基づいています。

お待たせいたしました。債券ブローカーについてです。
債券ブローカーとは、債券ディーラー ⇔ 債券ブローカー ⇔ 債券ディーラー という具合に、債券ディーラー間での売買を専門的に扱う業者のことです。

まとめ

ここでは、発行市場と流通市場との大まかな違いなどを理解しておいてください。
次のステップは、流通市場において(時価といいましたが)どのように価格が決まっているのか、についてみてみたいと思います。