○○から何日目、○○から起算して〇営業日目・・・この日にちの考え方、理解できていますか?
日にちが分かると、解ける問題もあります。勉強しておきましょう。
他の科目でも少しだけ取り上げてあります。⇒ 営業日という概念
【目次】
株式の普通取引(4営業日目)
株式を売買すると、売買した日(売買契約締結日)から起算して(その日から数えて)、4営業日目に、決済が行われます。その決済が完了したら、つまり、その日に名実ともにその株券の所有者となります。
4月1日に購入(売買・売買契約・売買契約締結)すると・・・仮に月曜日だったとすると・・・4営業日目は、いつになると思いますか?
3月31日 (日) |
4月1日 (月) |
4月2日 (火) |
4月3日 (水) |
4月4日 (木) |
---|---|---|---|---|
起算して (この日から数えて) 1日目 |
2日目 | 3日目 | 4日目 この日、株主 |
4月4日に、株主としての権利が発生することになります。
では、配当がもらえる株主の権利は、いつ確定するか、ということです。つまり、いつの時点で株主になっていたらいいか、ということです。
通常、3月末決算(3月31日)の会社の場合、3月31日時点で株主になっていた人(法人等も)に、配当が支払われます。
3月28日 (月) |
3月29日 (火) |
3月30日 (水) |
3月31日 (木) |
4月1日 (金) |
---|---|---|---|---|
この日、売買すると (この日から数えて) 1日目 |
2日目 | 3日目 | 4日目 ここで株主 |
|
この日に売買すると (ここから起算して) 1日目 |
2日目 | 3日目 | 4日目 バンザーイ! 期末に株主です。 |
では、次です。
配当落相場とは
この株主として配当金をもらえる権利がなくなる(翌年になる)、3月29日の日からの相場を、配当落相場、といいます。
3月28日は、3月末の株主の権利に間に合う。
3月29日は、権利が4月1日になる。3月29日以降の相場が、配当落相場ということです。
「起算して」と通常の日にちの数え方
起算して、という単語が入らなかった場合の日にちの数え方です。試験問題文中にも、使い分ける形で登場します。
きっちりと区別できるように覚えてください。
では、問題です。決算日の何日前から配当落相場になりますか? と聞かれたら?
正解は、2営業日前、です。3月29日のことですね。
3月28日 (月) |
3月29日 (火) |
3月30日 (水) |
3月31日 (木) |
4月1日 (金) |
---|---|---|---|---|
3日前 ここは期末の株主に間に合う |
2日前 ここから配当落相場 |
1日前 | 決算日 |
この微妙な違い、大丈夫ですね。
では、これに土日を入れた形で考えてみます。
3/26 | 3/27 | 3/28 | 3/29 | 3/30 | 3/31 | 4/1 |
---|---|---|---|---|---|---|
水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 月 | 火 |
期末株主に間に合う | 配当落相場 | 決算日 | ||||
4 | 3 | 2 | 1 | |||
2 | 1 |
- 配当落相場は、決算日の翌営業に決済される取引からになる。(上の表の場合。以下同じ)4月1日の決済から。
- ということは、その日から起算して4営業日前に成立(契約)した取引から配当落となる。4営業日前は、3月27日
3月27日から配当落相場。 - それを、決算日で言い直すと、決算日の2営業日前=3月27日のこと。
- 3月31日から起算してではなくて、3月31日から2営業日前は・・・3月27日のこと
- 決算日の2営業日前から、配当落相場、となる。
もう1つ、今度は権利落相場、について勉強します。
権利落相場とは( ⇔ 権利付相場)
この場合の権利とは、株式分割や、増資の時に新株を割り当てられる権利、のことです。(参考までに増資には3つのパターンがあります。覚えなくてもいいと思います)
株主割当有償(増資) | 公募(増資) | 第三者割当(増資) |
---|---|---|
株主に割り当てられる(有償) | 広く新しく株主募集 | 株主以外の第三者に割り当てる |
配当落、覚えていますか。決算日2営業日前、でした。
2営業日前 | 1日営業日前 | 決算日 |
---|---|---|
配当落相場 |
この決算日を、⇒ 権利日=新株割当期日、と読み替えてください。新株の割当てを受ける権利がなくなる日が、権利落相場、です。
2営業日前 | 1日営業日前 | 決算日 |
---|---|---|
権利落相場 |
では、権利落すると、どうなるか? です。どうなると思いますか?
株価が、その権利の分だけ価値が値下がりするのです。まさに権利落相場、です。
繰り返します。配当落(いつまでに取得しておけば配当の権利があるか)というのと同じように、株式分割や増資などの場合も、その権利がもらえる・もらえない、という境目があります。(3営業日前と2営業日前、でした)
2営業日前になると権利がなくなりますから、その分値下がりします。これを権利落相場といいます。
この権利落相場を計算で算出する問題が時々出ます。
権利落相場の計算問題・・・株式分割と増資
計算問題では、株式分割と増資の場合の2種類があります。
株式分割
サンプルで覚えておくのが、いちばんです。計算式も思い出せます。
1,000株、2,000円の株式で、1株が2株に分割された、というサンプルです。
株式分割が行われると、その分持株は増えますけど、価格が下がって買いやすくなる、というメリットもあります。株主優遇策の1つです。
2,000円の株式が、1:2の分割比率で分割されると、価値が半分になる、というのはすぐに理解できますね。この小サンプルの式を、すぐに思い描けるようにしてください。分母と分子が分からなくなっても、すぐに思い出せます。
次の計算問題も、小サンプルを思い出せば、間違えることはないかと思います。
時価900円の株式について、1:1.5の株式分割が行われた時の(予想)権利落相場は?
600円! 正解! となります。
反対に権利付相場を計算する問題だと・・・式変形はすぐにできますね。
1:1.5の権利分割を行った権利落後の相場が、2,400円でした。この時の、権利付相場は?・・・大丈夫ですね。
2,400円×1.5=3,600円・・・正解! です。
注意!
こんな問題が出題されることがあります。
1:1.5の株式分割を行う権利付相場は、1,800円でした。権利落後の株が、1,400円になったとします。
権利付相場の1,800円に対していくら値上がりしたことになりますか? というような問題の時です。
あれ? 全部の数値が埋まっている、と考えないでください。下の右左、どっちの計算式を活用しますか?
1,800円÷1.5=1,200円 あれ? 1,200円が、1,400円になった? 200円の値上がり? |
1,400円×1.5=2,100円 1,800円が ⇒ 2,100円になった? 300円の値上がり? |
値上がりした金額は、
イ.200円である。
ロ.300円である。・・・正解は? はい、ロの300円です。
※実際の権利付相場、1,800円に対しての、値上がりした株価(買付価格)を算出するものです。ですから、権利落価格の1,400円×1.5=2,100円が正解です。
この手の問題の時は、意識して(騙されないぞ、ヘヘヘと笑って)右側の計算式(単純な、×の計算式)に、数値を当てはめてください。
繰り返しますね。1,800円の権利付相場と比較するわけですから・・・
1,400円の権利落後の数値を修正する、と覚えておいてください。
1,400円を修正したら・・・1,400円×1.5=2,100円・・・これを、1,800円と比較する、です。
合言葉 落ち、割り算と、値上がり掛け算
権利落相場=割り算で求める・・・左の式
権付相場の値上がり=掛け算で求めて・・・右の式、比較する。
増資
実際の増資の場合には、割当率と新株払込額が決められて、それで増資が行われます。
(割当率とは、1株について、いくら(何株)割り当てられるか、ということです。割当率=0.5というと、1株について0.5株割り当てられる、ということです)
公式は下のようになります。覚える余裕のある人は、このまま、覚えてください。ない人は、たぶん試験には出ない、という判断で結構だと思います。
まとめ
株式業務に関しての計算の問題も練習しておいてください。
⇒ 練習問題