外務員とは?(外務員資格の概要と重要性)
外務員とは? その資格の重要性は? ということについて簡単に考察してみました。
途中、その経緯などから読み物的な内容にもなっていますので、結論から呼んで、その次は一種試験・二種試験のところまで飛んで概要を理解するのがいいかと思います。
それで途中に「わざと」CMを入れました。(お許しください)
(銀行に31年間勤務してきた体験=銀行・金融機関のここ20、30年間の推移・経緯を肌で体験してきた経験から)実は、外務員試験という資格が金融機関で求められるようになったのはそんなに昔の話ではありません。ここ10数年の話です。
また、以前は過渡期だったのか知れませんが、特別外務員という資格だけで十分な時代もありました。
それが次第に(正規の)外務員の資格を取得しなければ日々の仕事ができない、という時代になってしまったのです。
外務員とは? 外務員資格の概要【結論】
そもそも外務員とは? 何なのでしょうか。証券外務員とも呼ばれたりしています。(以前は証券の文字が付いていましたが最近は外務員ということに表向きは統一されているようですが、昔の名残もあって混在しています)
ひとことで言うと、外務員とは、「銀行や証券会社などの金融機関(=金融商品取引業者等)で、金融商品取引業務を行う者」を言います。
今ではどこの銀行でも(収益の柱の1つとして)金融商品なるものを「商品」として取り扱っている=品揃えしているという状況ですから、つまり、外務員という資格がないと銀行員・証券マン≒金融機関の人間として仕事ができない、ということになってしまっているのです。
ここでは3者の登場人物を理解しておいてください。
登場人物 | 概要 |
---|---|
日本証券業協会 | ・金融商品絡みの範囲のことを管轄しているおおもとになります。 ・この協会に属する形で活動するのが金融機関です。 ・あとは法律に基づいて活動しています。 |
銀行・保険会社(協会員) | ・金融機関は日本証券業協会(日証協)に協会員として所属する形です。 ・銀行員は協会員に属している従業員・社員(役職員)ということになるわけです。 |
私たち(一般の消費者=金融機関からみての顧客) | ・金融商品を購入する金融機関のお客さま的位置づけ。 【外務員試験の受験者として】みた場合は ・銀行員(金融機関に所属するなら)は、協会員に属している役職員として受験する。 ・銀行等に属することなく一般の民間人・個人として外務員試験を受ける人=一般受験者。 |
では、外務員の外務とは
⇒ 一般のお客さま(消費者)に金融商品を勧誘・販売すること。
※ 具体的には債権や株式などの有価証券の売買や資産運用・金融商品取引の相談相手になってプロとして専門的な知識を使ってのお客さま保護に努めなければなりません。
⇒ 外務員がその外務という業務をする役職員=資格を有する者となる。
⇒ 銀行、証券会社、保険会社、その他の役職員で試験に合格して資格を取得した者が外務員。
⇒ 銀行などの協会員を退職しても外務員の資格は有効です。終了しません。
では、銀行員や証券会社に勤めている人間なら誰でも外務員になれるか、というとそうではありません。
外務員になるには、
①まず、外務員としての登録を受けるための「外務員資格」を有していることが大前提です。
②そして、金融商品取引業者等に入社した後で、氏名等を金融庁に登録してはじめて、外務員として活動することが可能になります。
※ 金融商品取引法によって義務付けられているのです。
つまり、外務員資格を有していないと、同じ銀行員(証券会社の職員)でも、できる業務とできない業務がある、ということになります。
当然に、金融機関側としては(雇っている側としては)、業務に支障が出るので取得を義務付けるとまではいきませんが、強く求めることになります。
ちなみに、外務員には4つの種類があります。 一種外務員、二種外務員、信用取引外務員(廃止)、特別会員一種外務員、特別会員二種外務員、特別会員四種外務員(今現在は実施されていません。募集なしです。取得できなくなっています)の4種類です。
昔は、二種試験に合格した後でないと一種試験の受験資格がもらえない仕組みでしたが、今はいきなり一種試験にチャレンジすることも可能です。
(ただし勤めている銀行等によっては、ちゃんと順番どおりに二種試験から取得することになっているところもあります)
【コラム的な話】時間のない方はパスしてください。
銀行員という世界だけで考えると、お客さまから預貯金を預かるのに特別な資格など要りませんでした。
誰でも定期預金について説明して、セールスして、お金を預かったり、(後日)定期預金の証書をお届けしたり、というようなことができました。
でも、金融商品だけはそれが許されないのです。医師免許がないと診療行為ができません。税理士や司法書士の資格がないと税理士・司法書士として活動できません。そもそも運転免許がないと運転することができません。同じです
外務員の資格がないと、銀行や証券会社などで、お客さま(投資者)に説明したり、セールス(売込み)したり、いろんな事務手続きを行うことができない商品がある、のです。
そして、最近では、そういった金融商品が主力商品とまでは言いませんが、かなりのウエイトを占めるようになってきたのです。
銀行の預金が保護されて、その他に扱っているのが国債といった安全な商品がメインでしたから、リスクについて理解している人の方が圧倒的に少ない時代でした。
それが自己責任の名のもとに個人個人でリスク管理をしなければならなくなりました。
逆に、お客さま(投資者)の側からみて、「あの銀行は、金融商品について(私の要求に対して)満足に説明できる人がいなくて困るのよね」なんてことになったら大変な機会損失です。
さらには、トラブルから裁判沙汰にまでなることもあるのが金融商品の世界です。
判断能力の衰えてきた高齢者に(たとえリスクの話をした上での販売・購入だったとしても)、金融商品をご案内したら、後日その高齢者の身内・親族が本人が希望したものではない、無理やり銀行が契約したものだ、だから損失分を返せ、なんてことも起こりかねないのが金融商品の世界です。
昔の銀行(金融機関)は、業界として大きな特徴がありました。
1.銀行は銀行、証券会社は証券会社、郵便局は郵便局などの棲み分けができていました。元々が国からの免許で営業・仕事ができる時代でしたので、各都道府県単位での地方銀行は表立って他県での競争などをすることはあまりありませんでした。
2.銀行の主力商品は、預金(定期預金)でした。
棲み分けと言えば聞こえがいいですが、護送船団方式でそれぞれが守られていたのです。他所の縄張りを荒らさないかわりに、自分たちの縄張りも荒らされない、お互い荒らさないようにしましょうね、という暗黙の了解事項ができていたのです。
守られていたのです。何に? 規制に! です。
それが規制緩和・自由競争という流れの中で、だんだんと垣根・テリトリーといったものがなくなって本当に何をやってもという時代になってきました。
銀行で生命保険が売られる時代です。以前ユニクロさんで野菜を販売する、という話がありましたが、将来は銀行で野菜を売る時代がくるかも知れません。(笑)
自由競争時代の前は(規制で守られていた時は)、銀行は経済成長・景気拡大もあってお金さえ集めれば、お金を借りてくださる会社・人はいくらでもいました。とにかくお金を集めることが銀行員のメインの仕事だったのです。運用と調達でいうと、運用は待っていてもいくらでもある、ならば調達を一所懸命に頑張れ、ということだったのです。
お金を集めるのに資格はいりませんね。銀行員というだけで集めることができたのです。特別な免許もいりません。預金集めが至上命題の時はせいぜい金融機関の職員向けの預金・貸付・財務・税務といったような銀行検定試験を受けるだけで良かったのです。
ところが、、